1965年 マイルスも活動を再開できる程度に回復し、数回のギグ(ライブ)を重ねたところで、メンバーからの不満が溜まりつつあった。
バンドのレパートリーは「ラウンド・ミッドナイト」や「ソーファット」など
メンバーは熟達していて、こうきたら、こう返す的な予測の元で演奏をすることに
飽きが来ていた。
これってものすごくレベルが高いが故の悩みですよね
そこで、トニーの提案は
「誰かに先の読まれるようなプレイは、ぎりぎりまでやらない演奏をしないか?」
それに対して、他のメンバーはあまり乗り気ではなかった
ステージ上でこういうゲームまがいの事をするのは良心が許さない
という気持ちが、、、、
しかし結果的には全員がこれに同意する
今回のギグは失敗するかもしれないが「バンドの進歩」のためにはそれも仕方ない
プラグドニッケルにメンバーが入ると
コロムビアレコードのテオマセロがレコーディングの準備をしていた
マイルスは知らなかったようで怒ったようだが
結局初日の録音は断ったものの二日目からは録音がされることに、
しかし、あまりに前衛的な演奏のためしばらくこの演奏がレコードとして
発表されることはなかった
1982年に、4曲だけ切り出されたものが発売されることになるのだが
現在はボックス版でこの全容を聴くことができる
しかも全部YouTubeに上がっているという
なんという時代でしょう
このWhen I Fall In Loveでは
マイルスの音の調子がまだなのも聴き取れるかと思います
最初のバッキングアプローチも普段と違いますねー
お客はCDで聴く完成したマイルスの演奏を聴きにきたので
前衛的なこの演奏で、大きな声で喋ったり
やじを飛ばしたりしてるのが聞き取れますね
このゲームをウェインはものすごく楽しんでいて
とても自由に演奏しています
本人はこの日は足かせを外されたようでゾクゾクするくらい楽しかったそうです
この曲ではレスターヤングやソニーロリンズ・スタンゲッツなどの引用をしたり
自由に吹きまくっています
ソロを終えてバックステージに行ったところで
マイルスに「お前なんでも吹けると思っているだろ?」
「何も演奏しないことはできるか?」ということを言われているそうです
そんな話をしていると
ベースのロンカーターのソロで客が
「レイ・ブラウン オスカー・ペティフォード ポール・チェンバース」といった
有名ベースプレイヤーの名前を上げて野次り始めたところで
慌ててマイルスがメロディを吹き始めて収めています
このアルバムをなんの知識もなくきくと
特にジャズ初心者には聴き辛いと思いますが
そんな耳を持ってきくと面白い!って思える深さが
ジャズにはあると思っています!