ジャズってカードゲームのように駆け引き、出し方でこんなに変わる

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大学の集中講義では

今年はジャズの歴史に沿って

スタイルの変化と音づかいによって時代性を感じさせることができる

というレッスンをしました。

 

演奏をする時に自分のインスピレーションだけで演奏すると

うまくいかない場合があります。

 

その楽曲の醸し出す時代感とか

雰囲気というのがあった上での演奏の方が

世界観が作りやすいからです。

 

これはある意味、カードゲームでのお題のようなイメージでとらえています。

そのカードゲームの内容によって

駆け引きのやり方やルールが変わるからです。

 

このゲームでは2が一番強いけど

こちらのゲームではAが一番つよいなどがありますし

でも、ジョーカーはどのゲームでも切り札として使えるカード

というルールもあったりします。

 

古い時代のジャズではあまりテンションを使わない方が

その時代の雰囲気がでます。

その上で、アドリブの後半はテンションを効かせたフレーズにもっていけば効果的ですが

全体を通して同じつかい方にしてしまうと

景色がかわらず、時代性もチグハグになり

もったいない演奏になってしまいます。

 

3日間の講義でしたが

最終日はハードバップとモードの演奏内容に特化したものにしました。

 

その際に

コーラスが繰り返される構成の中で

どこにどのカードを置いていくのか?

という説明にしました。

 

ただ、曲を演奏するのではなく

ヘッドアレンジという

口頭で伝えて軽く構成アレンジをしておいたり、

演奏の途中でおもいついたアレンジをして

曲の進行を面白くするという説明もしました。

 

すると、途中でバックコーラスをやってくれたのですが

その位置について、もっと効果的なやり方というのも解説しました。

 

ジャズは、コードの流れで使えるフレーズ(小さいカード)

のようなものから

構成に沿って、ここで意識的にこういうソロをすることによって

その後に大きなイベントが起こることが予測できるようなカードがあります。

 

そういうカードの出し合いの駆け引きをやっていきます。

 

それは現場で覚えたり、ライブアルバムを聴いて仕入れたりします。

あとは、バンドのリハーサルでそういった思惑を試すということをよくやりました。

 

最初は意図的に解決場所を示して、予定調和で演奏するのですが

本番ではそれをあれこれイジって

もっと面白く!という試行錯誤をします。

 

こういうカードをたくさんもっていると演奏は楽しくなるので

プロミュージシャンは

まるでトレーディングカードを集めるように

コピーしたりして集めています。

 

もちろんアンサンブルでは

手持ちカードの少ない人には

わかりやすいカードを使って提示していって

難しいカードは使わないという事をしますが

上級者との演奏ではこういったカードを

あちこちで出し合って駆け引きをします。

 

そうすると今までになかった使い方を覚えたり

新しいカードを入手したりと

そこが一番ジャズの面白いところだと思っています。

 

もちろん音づかいの面白さもありますが

バンドの舵取りの面白さを覚えると

メンバー全員の力が同じ方向に向かうので

爆発的な演奏になったりします。

 

何年もジャムセッションで演奏しているのに

プロの演奏のような高揚感が得られないのは

こういう思考をしていないからだと思います。

 

名盤にはこういうカードがあちこちにあって

まるで宝箱のようなものです。

そういう意味で聴くと、演奏も楽になるし

楽しさがかわると思います。

 

ただ、バンドメンバー全員が共有していないと

使えないカードがあるので

そういう練習がないと難しかったりしますが。

 

そういう解説のあと演奏がこんなに激変する

という内容の動画になっています。

 

是非ご覧くださいね!

ジャズってカードゲームのように駆け引き、出し方でこんなに変わる」への2件のフィードバック

  1. この解説は、
    この解説も、

    本当に、すごいですね。

    理解出来ることって
    理解させていただけることって

    本当ありがたいことです。

    また驚きました。
    ありがとうございます。

  2. これも又すごい!

    公開レッスンですね。「演奏中何を考えている」と同様、見るだけで上手くなります。
    本当に勉強になります。

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